はもりっくす(@HAMORIx64)です。
知りたいと思いつつも
知る怖さのほうが強かった
食品添加物についての本を
読んでみました。
少なくとも5・6年前には
この本の存在を知っていた
と思いますが、
なかなか読む勇気が
ありませんでした。
紹介するのは
『食品の裏側―みんな大好きな食品添加物』(安部司著/東洋経済新報社/2005)
です。
「食の選択」には、とても重要な情報です。
まずは事実を知ること。
そこからすべてははじまります!
肯定するにも否定をするにも
まず、そこからです。
- この本の作者は、元・食品添加物の専門商社のトップセールスマン!
- なぜ、食品添加物がこわいのか。
- 身内には食べさせたくないものをつくって売る大人たち。
- 添加物から身を守るには?
- 消費者は、「完全に被害者」ではない?
- レビューまとめ
この本の作者は、元・食品添加物の専門商社のトップセールスマン!
添加物のソムリエ、歩く添加物辞典と呼ばれた男。
著者の安部司(あべつかさ)氏は、
その仕事がら「机上の研究」ではなく
食品添加物の現場を
「じか」に見てきた方です。
純品の添加物ならほぼすべて、食品に混じりこんでいるものでも100種類ほどの添加物を、舌で見分けることができます。(p.35)
すごい…。
本物の「プロ」ですね。
安部氏は大学で化学を専攻、
入社した会社で「日本一の添加物屋」
をめざして日々まい進。
朝4時に起きて工場に出向き
仕事を手伝って現場になじみ
どの食品にどのような添加物が必要か
を肌でまなんだそうです。
人間関係を築き上げ、
現場が必要とする食品添加物をすすめ、
最終的には
「食品添加物の神様」
とまで言われるようになったそう。
本当に優秀な営業マンですね。
彼が売り歩いていたのは、
当時はだれもが喜んだ
魔法の粉 = 食品添加物
でした。
暗い土色で、形もドロドロのタラコ。それが添加物の液に一晩漬けるだけで、赤ちゃんの肌のようなプリプリのタラコに変貌するのです。(p.19)
まさに魔法の粉ですね。
食品業界では、食品添加物を『クスリ』と呼ぶ。
現場になじむと
最初は口もきいてくれないような
工場長の頑固オヤジさん達が
じょじょに心を開いて
世間話をするようになり、そして
悩みを打ち明けてくれるように
なるそうです。
そこで安部氏の出番です。
麺の製造工場のオヤジさんが、品質はいいけど日持ちがしない麺についてこぼすと、
「それだったら、いいのがあります。『プロピレングリコール』という添加物を使うと全然違いますよ」
「あと、『PH調整剤』を入れると日持ちしますよ」(p.22)
餃子の皮の製造工場で
工場長が皮が機械にくっついて
ラインが止まることをこぼせば、
「じゃあ『乳化剤』を入れましょう。作業がグンとラクになるし、ひからびも防げますよ。あと『増粘多糖類』も入れると、コシが強い皮になります。それぞれ2種類ずつ使ってみたらどうです?」(p.23)
と、「悪魔のささやき」を
はじめるのです。
結果はというと。
工場長たちは
「あの『クスリ』はすごいよ!」
と大喜びし、安部氏は営業売り上げを
どんどんのばす。
会社によっては
安部氏のてがけた商品だけで
ビルが建ったそうです。
なぜ、食品添加物がこわいのか。
「安全」という名の薄氷の上を歩くわたしたち。
「添加物の複合摂取」問題
添加物は厚生労働省がひとつひとつ毒性のテストをして、一定の基準を満たしたもののみが認可されている
…ということになっています。
が、
これは単品使用の場合のテストのみ
であって、複数の添加物を
とった場合の「複合摂取」の実験は
十分に研究されていないそうです。
しかも動物実験のみ。
安全性が確認されている添加物でも
かなり古い時代の検査で認可されて
以降そのままになっているものも
あるそうですし、
認可されていたものに
「発ガン性」が見つかって
あわてて認可が取り消しになることも
よくあるそうです。
食品添加物を
大量摂取するようになって数十年。
わたしたちはまさに今、人体実験の
真っ最中なのかも?
食品添加物の一括表示問題
「それじゃあ、添加物の少ない商品を
買うようにしよう」と思ったあなた。
食品の裏側のラベルを確認し
「3種類くらいなら…」
と思って購入した商品が、
じつは「一括表示」という
食品メーカー側に都合のよい
ラベル表示になっているそうです。
たとえば食品の変質・変色を防ぐ「PH調整剤」。
これは、ひとつの物質名ではありません。「クエン酸ナトリウム」「酢酸ナトリウム」「フマル酸ナトリウム」「ポリリン酸ナトリウム」といった添加物の「集合体」なのです。
4~5種類は使われているのが普通です。それぐらい入れないと、PHの調整効果がでないのです。(p.111)
表示免除
加工食品においては、
添加物を含む原材料を
すべて表示しなければいけないと
食品衛生法
で決められているそうですが、
- キャリーオーバー
- 加工助剤
- バラ売りおよび店内で製造・販売するもの
- パッケージが小さいもの
- 栄養補助剤
という5つの
「表示免除制度」があり、
添加物のはびこる温床にもなっている
と安部氏は本の中で語っています。
- あの小さな食品ラベルに、すべての食品添加物を記載するのは大変ですよね。見栄えもよくないですし、こんなにたくさんの『クスリ』が使われていることを知ってしまうのは買う方も気分が悪いでしょう。なので表示はだいたいにしておきましょうか。そのほうがお互いに都合がいいですからね。
…というふうに考えたのかどうかは
わかりませんが、
食品メーカーに対しての思いやり
を感じる制度のような気がしますね。
メーカーと消費者。
思いやるべきは本来どちらかな?
って思うのですが。
ラベルだけでは読み取れない、見えない「裏側」がたくさんあるのです。(p.49)
食品の裏のラベルの
「ウラ」も読まないと
安全は見えないようです。
身内には食べさせたくないものをつくって売る大人たち。
売り上げが右肩上がりの
超多忙スーパーセールスマンだった
安部氏。
ある日、娘さんの誕生日に
奥様がテーブルに並べたお料理の中から
子供たちの大好物という
「ミートボール」を1つ口に入れて
ガクゼンとします。
それが、ほかならぬ
自分が開発したミートボールだと
すぐに気づいたからです。
本来なら産業廃棄物となるべき
クズ肉を、添加物を大量に投入して
「食品」に仕立て上げた――
それがこの
ミートボールだったのです。
本来なら
使い道がなく廃棄されるものを
食品として生かした
環境にもやさしい商品。
1円でも安いものを求める
主婦の救いでもあり、
国の認可した添加物を正しく使った
まさに食品産業の
発展にも役立っている仕事。
その自分の誇りでもあった商品は、自分のこどもには食べて欲しくないものだった。
そのことに気づいた安部氏は
翌日すっぱり会社を辞めたそうです。
そのとき思い出したのは営業先での
以下の言葉だったそうです。
- ある工場長さんの「俺のところのハムは食べるなよ」
- 漬物工場の経営者の「うちの漬物は買うな」
- 餃子屋さん・豆腐屋さんの「自分のところでつくっている食品は食べない」
この言葉を聞いて
どう思いますか?
添加物から身を守るには?
添加物とのつき合い方。
コンビニ生活にしろ
スーパーで食材を買って自炊しても
意識せずにふつうに買い物をすると、一日60種類以上の添加物をかるく摂取することができる
という現代社会。
「食品添加物を使うな!」
というのは簡単ですが
わたしたちは
その恩恵も受けているのです。
安部氏は
食品添加物と上手に付き合う方法
として5つのポイント
を述べています。
- 「裏」の表示をよく見て買う――まずは手首の練習
- 加工度の低いものを選ぶ――手間をとるか、添加物をとるか
- 「知って」食べる――1週間というスパンで考える
- 安いものだけに飛びつかない――安いものには理由がある
- 「素朴な疑問」を持つこと――添加物と付き合う最初の第一歩
「なんでこんなに安いのだろう?」
と思ったときに、「裏」を
ひっくり返してラベルをみること
が身を守る方法だといいます。
別にムズカシイ添加物の名前を
覚える必要はなく、
台所にないもの = 食品添加物
と考えればOKだそうです。
そして、素朴な疑問を持つこと
が大切だといいます。
- なぜこの明太子は、こんなにキレイな色なのか
- なぜこのハンバーグは安いのか
- なぜパックサラダは、いつまでもしなびないのか
- なぜコーヒーフレッシュは使い放題なのか
- なぜ自然に育った野菜が均一にそろっているのか
この本を読んでから
食品ラベルをチェックするようになり
スーパーで買えるものは
売り場のほんの一部でしかない!
と気づいたときはちょっと、
「ガクゼン」としました。
今まで、自分は
何を食べていたんだろう?
どうして世の中はこんなことに
なってしまっているんだろう?
日本は今や、認可された添加物が
世界で一番多い国なのだそうです。
消費者は、「完全に被害者」ではない?
本の中に書いてある
安部氏の言葉が刺さります。
安くて便利ならばと、なんの問題意識も持たずに食品を買う消費者の側にも責任はあるのです。 (p.50)
消費者が、
- 安いもの
- 便利なもの
- 見かけがきれいなもの
を求めるからこそ
作り手はそれに応じるしかない
という現実もある、そうです。
ちょっと、ドキッとしますね。
確かに身に覚えが。
でも、どうでしょうか。
もし商品に
- このレトルト商品はとても便利でお求めやすいお値段ですが、その代わりといってはなんですが、添加物は20種類以上使用させて頂いており、あなたの味覚を破壊する恐れがあります。
- この500㎖のペット飲料は糖分が50グラムも入っておりますが、わが社の研究員の努力のたまもので、さわやかで飲みやすい味に添加物で加工済みです。しかし空腹時に飲むと血糖値が急激に上がり、糖尿病になる可能性が高くなりますのでご注意ください。
- このレンコンの水煮は中国から仕入れたときは真っ黒でしたが、漂白剤で真っ白にしてありますのでキレイです。安心してお召し上がりください。
と表記がされていれば
さすがに消費者だって
リスクと利益を測ったうえで
買うことを考えますよね。
リスクを知っていれば
簡単に手を出すことは
ないハズです。
あなたは、
たまに食べるインスタント食品が、
毎日使うニセモノの調味料が
子どもの大好きなジュースが、
どのように作られているか知っていますか?
知ればさすがに、
「食の選択」を
考えたくなるのでは?
レビューまとめ
個人の感想
この本が、
ただの告発本としてだけではなく
読み物としても面白く、かつ
リアルで分かりやすいところに
安部氏がトップセールスマンだった
ことを感じます。
食べ物や健康に興味をもつ以上
読まないわけにはいかない本でしたが
読むまでは腰が重かった(;´∀`)
読んでみて。
なんとなくわかってはいたけど…
改めて恐ろしさを感じるとともに
静かな怒りも感じないではいられません。
わたしは2年半前から
「西式甲田療法」をベースに
「食の選択」を実践しているので
食品添加物を、ほぼとらなくてすむ
食生活をしています。
だからこそ
この本を読む勇気が出て、かつ
冷静に読むことができましたが……
それでも「ガクゼン」でした。
食生活を変える前だったら、
怒りはおさえられたかなと思います。
読後にやるせない気持ちが残ります
が、でも事実を認識することで
はじめて「次にどうするか」を
考えることもできると思います。
わたしは、
この事実を知ったことを
前向きに活かしたいです。
だってこんな現実、イヤだもの(T_T)
この本は60万部のベストセラーだったそうです。が…。
安部氏はいまや全国から
講演に呼ばれるようになったそうです。
その一方で、いまだに
食品添加物に無頓着な
ふつうの人たちもたくさんいます。
安部氏のこの本の発行は2005年。
でも、いまだに
この本に書かれている知識は
人々の一般常識ではありません。
その後『食品の裏側2 実態編: やっぱり大好き食品添加物』が
2014年に発行されていますが、
その中で安部氏は
日本の添加物事情は変わったかというと、残念ながらまったく変わっていない、いや、それどころか事態は年々深刻化しているといっても過言ではありません。(p.1)
と述べています。
本だけでなく、同じような内容が
雑誌でもたまに特集されますが、
それでも
食品添加物の情報が一般的にならず
状況も一向に変わらないのは
なぜなのでしょうか?
テレビでこの問題を
正面から取り扱うことがほとんどない
のはなぜでしょうか。
CMで多い商品が何かを考えれば
わかるような気がしませんか?
これを読んだらもう止まらずに
『食品の裏側2 実態編: やっぱり大好き食品添加物』(安部司著/東洋経済新報社/2014)
『なにを食べたらいいの?』(安部司著/新潮社/2009)
と計3冊読んでしまいました。
読みだしたら、とまりませんでした。
あなたが
自給自足で暮らしていないなら、
一度はどれかを読んでおくべき
だと思います。
身近に売られている食品の
「からくり」がリアルにわかる、
一番わかりやすくて読みやすい本です。
読んだ上で、どうするかはあなたの自由。
- 「読まなかったことにする」
- 「考えないことにする」
- 「今を楽しむ」
- 「食べるものをみなおす」
- 「食品会社に文句を言う」
- 「加工品を食べない決心をする」…
読んだあと、どう行動しようとも
「便利さ」の代償は、いつも「あなたの体」が必ず支払ってくれています。